IPAの非機能要求グレードを活用したAWSの要件定義支援

AWS

AWSと共通基盤の責任分担、開発チームとの調整事項を整理。IPAの非機能要求グレードを活用し、設計の前提と継続検討事項をまとめた非機能・運用要件定義書を作成しました。

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AWSと既存の共通基盤を利用するWebシステムの非機能要件定義を支援しました。IPAの非機能要求グレードを活用し、クラウドの責任分担や開発チームとの調整事項を整理。後工程で参照できるよう、設計の前提と継続して検討する事項を非機能・運用要件定義書にまとめました。

対象: 既存の共通基盤を利用するAWS上のWebシステム

支援領域: 非機能要件の整理、開発チーム・基盤担当との調整、合意形成に向けた資料作成、非機能・運用要件定義書の作成

背景と課題

本案件では、IPAの非機能要求グレードを用いて検討を進める方針が決まっていました。ただし、物理設備やハードウェアに関する項目を、そのままAWS上のシステムへ適用することはできません。AWSが管理する範囲、既存の共通基盤が提供する機能、今回のシステム側で決める事項を整理する必要がありました。

また、性能、認証、外部連携、リリース方式は、インフラだけでは決められません。業務やアプリケーションの前提を開発チームとそろえ、複数の関係者が判断できる材料を用意する必要がありました。

Markshipの対応

Markshipは、検討項目の精査から提案シートの作成、業務・開発・基盤担当との調整、定義書への反映までを支援しました。各項目の採否理由と確認先を整理し、関係者が要求水準や対応方針を判断できる形に具体化しました。

具体的な取り組み

IPAを共通の判断材料として使う

IPAの非機能要求グレードは、検討項目と要求レベルを使い、発注者と開発者の認識をそろえるためのツールです。モデルシステムを選び、重要項目から要求レベルを確認していきます。

IPAによる重要項目のレベル決定の例。目標復旧時間を12時間以内から6時間以内へ、要求に応じて調整している。

出典:IPA「非機能要求グレード 紹介ページ」掲載図「2.重要項目のレベル決定」(© IPA)。

本案件でも重要項目を起点に、システムに必要な検討項目を精査しました。標準の項目やレベルをそのまま採用するのではなく、AWSと既存基盤の仕様、業務・開発側の要求に照らして検討しました。

提供範囲と責任分担を要件に落とし込む

AWS・共通基盤・今回のシステムの前提を確認し、Markshipが不足・調整事項を洗い出して担当と方針をすり合わせ、要件へ反映する図

AWSの管理範囲と利用側の責任は、利用サービスによって異なります。ハードウェア関連の項目はAWSの提供範囲を踏まえて扱いを整理し、冗長化、バックアップ、復旧方針など、システムとして必要な事項は個別に検討しました。

既存の共通基盤についても、提供機能と利用条件、基盤担当と利用側の作業を確認しました。パッチ適用やログ管理など、複数の範囲に関わる事項は担当と対応方針をすり合わせました。標準の重要項目に含まれなくても、構成・運用に影響するパッチ適用ポリシーなどは検討対象に加えています。

重要項目を外す場合も、項目を追加する場合も理由を記載しました。関係者が、何を検討対象とし、どの前提で判断したのかを確認できるようにするためです。

開発チームと構成・費用に影響する前提をそろえる

認証方式、通知・メール送信、コンテンツ配信、バッチ実行方式などは、開発側の検討内容とAWS構成への影響を整理しました。開発チームの要望と共通基盤の提供範囲を照合し、接続方法やリリース時の承認など、個別に協議すべき事項も洗い出しています。

性能についても、応答時間の目標だけでは構成や費用を判断できません。同時アクセス数やデータ量など、業務・開発側に確認する前提を明確にしました。

提案と確認を並行して合意形成を進める

検討対象を整理し、提案シートの作成・更新と業務担当・開発チーム・共通基盤担当への確認・協議を往復して、合意した内容を定義書へ反映する流れ

要件シートには、関係者が検討できる提案ベースの内容を先に用意しました。業務担当者への確認、開発チームとの仕様調整、共通基盤の制約確認を進め、その結果を提案内容に反映しました。

協議は可用性、性能・拡張性、運用・保守性、セキュリティのテーマに分けて計画し、確認先と回答期限を整理しました。シートの記入完了を待たず、資料の更新と確認・合意形成を並行させる段取りとしました。

今決めることと設計で具体化することを分ける

残った未決事項は、構成・費用・運用体制への影響を基準に分類しました。要件定義で決める内容と設計で詰める内容を分け、分類の理由も添えています。

判断の区分 項目の例 判断の理由
要件定義で確定する サービス提供時間、同時アクセス数 構成・費用・運用体制の前提となるため
基本方針を先に決める パッチ適用、リリース方針 対応や承認の考え方をそろえ、詳細手順は設計で具体化するため
設計で具体化する 診断ツール、監視項目の詳細 技術構成の確定後に具体化するため

本案件で行った分類の例です。決定時期は、各項目が後工程に与える影響を踏まえて整理しました。

成果・後工程への引き継ぎ

検討結果を非機能要件定義書と運用要件定義書に反映し、レビューで確認された事項を取り込みました。設計フェーズで継続して検討する内容も明記しています。

支援を通じて、次の資料・情報を整理しました。

  • 非機能・運用要件定義書: 要求水準や対応方針と、設計で具体化する事項
  • 要件シート・提案資料: 検討項目の採否理由、提供範囲・責任分担の確認結果
  • 未決事項の整理: 要件定義で決める事項、基本方針を先に決める事項、設計へ引き継ぐ事項
  • 対象範囲を示す構成図: 監視やセキュリティ診断など、文章だけでは伝わりにくい適用範囲

要件の記述と対象範囲を対応付け、後工程で設計の前提と継続検討事項を参照できる形にまとめました。

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